1月5日、山形県 病院事業局 新澤病院事業管理者による職員に向けての年頭あいさつが行われました。
その内容をご紹介します。
また、あわせて「病院事業管理者賞」「職員提案の表彰」と「こころの医療センター院長賞」の表彰を行いました。その様子はこちらでご紹介しております。
皆さん、新年明けましておめでとうございます。今年は雪もない、穏やかな新年を迎えることが出来ました。皆さんは、希望をもって清々しく新年をお迎えのことと思います。
さて、昨年は病院事業の3年連続の経常収支赤字に対しV字回復プロジェクトを立ち上げて、経営改善に向け県立病院一丸となってスタートを切った年でした。山形県病院事業の大きな仕事であります、新庄病院の改築整備については移転新築という大きな方針が事実上決まった年でした。
こころの医療センターは、昨年電子カルテが稼働し、大変だったと思いますが、順調にいっているとお伺いしております。また、クリニカルパスに取り組まれており、精神科領域ではパイオニアともいえるのではないかと思っております。さらに三原看護主査がクリニカルパスの認定指導者の資格を得られました。改めてお祝い申し上げます。
今年はどのような年になるでしょうか。世界に目を向ければアメリカの次期大統領にトランプ氏が就任することとなり、彼の選挙期間中の言葉通りですと経済は保護主義的となり、今までのグローバリズムと正反対となり、いわば時計が逆回転する可能性があります。一方、日本では国債や借入金、政府短期証券をあわせた「国の借金」の残高が2015年度末時点で1,049兆円余に上っており、年度末はさらに増加が予想されています。
現在は円安株高で景気が上向きになっておりますが、これらの情勢からみてデフレに苦しむ日本の経済情勢は一層厳しくなることが予想されます。
医療にも世界のそして国内の景気動向は少なからずの影響があるものと思われます。どのような事態になろうとも私ども県立病院で働く者は、県民医療を守り支えるために不断の努力が求められます。
さて、希望のある話として新庄病院については移転新築の場所が決定され、基本計画が策定されます。新しい新庄病院像がより具体的に描き出されます。ぜひ、同じ県立病院のスタッフとして、こころの医療センターの皆様には、こころの医療センターとして移転新築された経験を基に、新庄病院の新築移転に向けてご支援をお願いします。
一方、最も重要な、V字回復プロジェクトについてであります。平成28年度の病院事業会計は残念ながら、現在のところ平成27年度比で実質のところ改善の見通しは明るくありません。
しかし、V字回復プロジェクトを立ち上がったことで問題点が洗い出されてきております。いわゆるPDCAサイクルが回り始めました。その結果、V字回復プロジェクトとして今年積極的に取り組むべき課題が見えてきました。年頭に当たって是非、この課題を共有し、皆さんとともに課題解決のための取り組みを進めて行きましょう。ここで私が考える主な課題解決に向けた取り組みを挙げます。
1.経営についての危機意識を職員全員で一層の共有化すること。このため、職員全員に対し、経営状態、特にキャッシュフローの可視化に努める。
2.生産性の向上を意識した病院運営のマネジメント向上に努めること。特に、チーム医療の推進により、提供する医療の質を高める。
3.医療連携のさらなる強化に努め、県立病院の役割を十分発揮していく。
4.コスト意識の共有化をはかり、全員参加で経費の削減に努める。
5.県立病院のSNSなどのICTを活用した双方向性の広報体制の充実を図り、医師確保をはじめとする医療スタッフの確保に努める。
6.スタッフの意識改革を進め、人材の育成に努める。質の高い医療の提供はスタッフ個々がやる気を起こさないと達成できません。病院事業管理者として私は皆さんの前向きな意見が生かされる風通しの良い職場、職員満足度の高い職場つくりに努力します。
さて、改めて申すまでもなく、山形県の病院事業のビジョンは「運営基盤を強化し、時代が求める医療ニーズに応えていく」です。こころの医療センターは運営基盤を強化するため、SNSを使った病院広報に力を入れられ、さらには夏季セミナーの開催により医師確保に努めてこられました。24時間対応の精神科救急医療を担い、大人のうつを対象としたストレスケア病棟を設置し、そして児童・思春期精神科医療を標榜科としております。
こころの医療センターは文字通り山形県唯一の公立の精神科単科病院として大学病院並みの医師育成、来年発足する新専門医制度では精神科専門医養成の基幹病院として活躍することが期待されております。このように活発に医療提供に尽くされている神田院長を始め、こころの医療センターのスタッフ全員の努力に敬意を表します。
最後になりますが、酉年は運を呼び込む縁起の良い年です。年頭に当たり皆さんのご多幸を祈念し申し上げます。今年もよろしくお願いします。