病院事業管理者訓示【令和5年度】

4月7日、山形県病院事業局 大澤賢史 病院事業管理者による職員に向けての年度初めの訓示が行われました。
その内容をご紹介します。

皆さん、こんにちは。病院事業管理者の大澤です。
冬の厳しい寒さも和らぎ、暖かな日差しに春の訪れを感じる季節となりました。春は始まりの季節でもあります。この4月の異動により、フレッシュな顔も拝見されますので、改めて申し上げますと私たち病院事業局では、「県民に安心・信頼・高度の医療を提供し、県民医療を守り支える」ことを使命とし、中央、新庄、河北、こころの医療センターの4つの県立病院で、県全域あるいは地域における基幹的な病院として、救急医療、周産期医療、精神科医療及びがん等の高度医療を提供しております。
神田院長をはじめ、こころの医療センターの職員の皆さんには、県民の生命と健康を守る第一線で、日々御尽力いただき、感謝申し上げます。


さて、世の中の状況について目を向けますと、世界ではロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年以上が経過し、膠着状態となっています。侵略、戦争による不条理さ、非人道的なふるまいを見ると、現代においてこのようなことがまかり通ることに憤りを禁じ得ません。私たちの身近でも北朝鮮からの幾度ものミサイル発射による威嚇、中国の周辺諸国への強硬的な外交もあり、ロシアの問題は遠い存在ではありません。
この、ロシアのウクライナへの侵攻については、資源価格の高騰、食糧供給のひっ迫などが生じ、県立病院を含め、わが国全体が大きな影響を受けています。

そして、新型コロナについてです。県内で新型コロナの感染者が確認されてから、丸3年が経ち、4年目を迎えました。昨年は変異したオミクロン株が主流となり第6波、7波、8波と相次ぐ感染拡大があり、県内ではこれまで最も多い1日当たり2200人を超える(R4.11.22公表 2207人)新規感染者が確認され、また、職員の自宅待機や感染、病院内でのクラスター発生もありましたが、皆さんのご尽力によりそれらを乗り越え、最小限の制限で何とか病院機能が維持、継続されました。
この間の皆さんの頑張りに敬意を表するとともに、心より感謝申し上げます。

コロナに関する動きでは、3月13日からはマスク着用の見直しがあり、着脱は原則、個人の判断となりましたが、医療機関では感染対策上、着用を継続する必要があることから、病院事業局からの働きかけで県(健康福祉部)、医師会、病院協議会、薬剤師会4者が連名で、利用者・県民にマスク着用をお願いすることとなりました。
そして、最も大きな動きとして5月8日には感染症法上、2類相当とされていたものが5類に引き下げ(見直し)となります。この5類への引き下げにより、コロナに関する様々な施策や取り組みが廃止や変更され、様々な対応が必要となってきますが、皆さんもご存じのとおり、コロナ専用病床の確保に係る病床確保料(空床保障料)の縮小・廃止により、県立病院の経営に大きな影響が及ぶことになります。
また、これから5類引き下げまでの間に、医療提供体制に係る「移行計画」を県が策定することとなっており、県立病院においてコロナ患者の受け入れがどのような役割となるのか、注視する必要があります。

さて、本来の業務に目を向けますと、山形県の病院事業を取り巻く環境は、人口減少や受療率の逓減による患者数減少の加速、少子高齢化の進行に伴う疾病構造の変化、さらには医師の不足や偏在など、年々厳しさを増しており、アフターコロナにおいても、病院事業の経営改善は最大の課題となっています。
これについては県議会でも注目しており、先の2月定例会において一般質問(松田議員)があり、「5類後も当面は現在もコロナの受入体制を一定程度は継続する必要がありますが、感染状況を見ながら、確保している病床、休床している病床を段階的に本来の病床に復元することになります。」と答弁しております。
また、病床確保料はコロナ対応により得られなくなる医業収益を補てんする重要な財源ですが、来るべき病床確保料の減収に備え、地域の医療機関や介護施設等とのさらなる連携強化や役割分担の明確化を進め、本業である医業収支の改善を図ることにより、冒頭申し上げた県立病院に与えられているミッションの実現に向けて、ここにお集まりの幹部職員はじめ全職員が総力を挙げて取り組んでいただくよう、期待します。

そして今、社会では「リスキリング」が注目されています。「変化に対応するため新しい知識や知らないことを身につけて成長する」という意味で使われ、官民、問わず取り組みが推進されています。その背景には、急速に進むデジタル化やAIの導入などで仕事のやり方が大幅に変わり、その変化のスピードが速くなるなか、若手からベテランまで世代を問わず、これまでにない変化への素早い対応が益々、求められていることがあります。こうした状況は医療業界も例外ではなく、人の手による業務が多い病院では、特にDXの推進や働き方改革に取り組むべきものがあると思います。是非、今年度は出来ることから、リスキリングを始めていただきたいと思います。

最後に、新型コロナウイルス感染症の国内外における感染の状況は、まだ収束が見通せない状況でありますが、神田院長のリーダーシップの下、こころの医療センターのミッションである「県全域を対象とした精神科医療の基幹病院としての役割を積極的に果たす」ため、「病院機能の強化と精神科救急医療、児童思春期精神科医療、心神喪失者等医療観察法への対応などの政策医療を推進する」というビジョンの達成に向けて、職員一丸となって取り組んでいきましょう。

今年度もよろしくお願いします。