病院事業管理者年頭のご挨拶(令和7年)

1月8日、山形県病院事業局 阿彦 忠之 病院事業管理者による職員に向けての年頭あいさつが行われました。
その内容をご紹介します。
 
新年おめでとうございます。
病院事業管理者の阿彦です。

新しい年、2025年が始まりました。年末年始は、県庁の場合、9連休という長い休みとなりましたが、病院では、12月30日と1月2日が診療日となりましたので、出勤された方も多かったと思います。また、病院は24時間365日稼働ということですので、年末年始も出勤され、病院運営を支えていただいた皆さん、大変、御苦労様でした。
また、神田院長のリーダーシップのもと、新田副院長、須貝副院長、看護部長の小林副院長、そして、事務局長の齋藤副院長をはじめ、職員の皆さんには、日ごろ、県民の医療を守り支えるため第一線で御尽力いただき、感謝申し上げます。
昨年のことを振り返りますと、1月1日、年明け早々に能登半島地震がありました。この地震では、中央病院と新庄病院がDMATの派遣、こころの医療センターからはDPATの派遣、河北病院では日本赤十字救護班として職員を派遣し、県立病院が総力を挙げて支援にあたりました。
そして、本県でも昨年7月の大雨災害により、特に庄内と最上では、最上川などが氾濫し、多くの家で浸水や停電が発生するなど、大変なことになりました。この災害では警察官2名を含む3名の方が亡くなられました。職員の皆さんの中にも、家が浸水したなどの被害を受けた方がいらっしゃいます。亡くなられた方の御冥福を改めてお祈り申し上げるとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
また、こうした被災地等で御尽力いただいた職員の皆様に心から感謝申し上げます。
本当に御苦労様でした。
ここで、病院事業会計を振り返ると、昨年はまさに試練の年でありました。診療報酬改定では、特定集中治療室管理料など集中系の施設基準の見直しにより、当直のローテーションの見直しや時間外勤務での対応など、現場の皆様には大変な御苦労をおかけしております。また、名目上はプラス改定であったものの、ベースアップへの対応で実質的にはマイナス改定に等しく、物価高の長期化等による材料費や経費の高止まりにより、経営の悪化に歯止めがかかりません。
平成29年度決算で資金不足比率が10%を超え、起債に際して総務大臣の許可が必要となる、いわゆる「許可団体」に転落した時も「危機的状況」と言われましたが、現在の経営状況は当時を超える県立病院史上最も危機的な状況にあります。新年がこうした悪い流れを変える年になればと思います。

さて、今年の干支は「乙巳(きのと・み)」です。
乙(きのと)は、甲乙で始まる十干(じっかん)の2番目で、「植物の種子が殻を突き破り芽を出す」を意味します。巳(み)は蛇のことですが、脱皮を繰り返して成長することや、その生命力の強さから「再生」や「復活」を象徴すると考えられ、蛇が巻き付いた「アスクレピオスの杖」は、皆さんご存じのとおり、医療・医術の象徴として、世界保健機関(WHO)のロゴマークにもなっています。
60年前の「乙巳(きのと・み)」は、1965年になりますが、1970年7月まで57か月続いた「いざなぎ景気」がこの年の11月に始まりました。これにあやかり、今年は病院の景気が上向き、経営も再生と復活に向かうことを切に願います。
さて、病院事業としては、今年は、改正後の中期経営計画の2年目になりますが、こころの医療センターの課題は、長期入院患者さんの地域移行と経営改善のバランスと考えます。
現在も様々な取組みを行っていただいているところですが、今後も「患者さんから選ばれる病院」を目指して、患者満足度や職員やりがい度を高めることは、非常に重要な取組みであると考えます。
やはり職員が働きたいと思う病院にこそ、患者さんも来たくなると思いますので、引き続き、患者さんや職員の声を聞きながら、しっかりと改善に取り組んでいただきたいと思います。
最後に、繰り返しになって恐縮です。我々県立病院は、皆さんの頑張りのおかげで、医業収益は増加していますが、終わりの見えない物価高や人件費アップなどで、経費がそれ以上に増加したため、赤字幅が拡大しています。
しかし、我々は「県民に安心、信頼、高度の医療を提供し、県民医療を守り支える」という使命を果たさなければなりません。今年は巳年。この難局を皆で乗り越えるため、蛇が脱皮するように古い固定観念を捨て去り、新たな決意をもって再生と復活への一歩を、一緒に踏み出しましょう。
どうぞ今年もよろしくお願いいたします。