病院事業管理者年頭のごあいさつ(令和5年)

1月5日、山形県病院事業局 大澤賢史 病院事業管理者による職員に向けての年頭あいさつが行われました。
その内容をご紹介します。
 
皆さん、新年明けましておめでとうございます。
病院事業管理者の大澤です。
新しい年、令和5年が始まりました。年末年始は、御家族と久々に楽しいひと時を過ごされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。一方で、病院は24時間365日稼働ということですので、年末年始も出勤し、病院を支えていただいた皆さん、大変、ご苦労様です。

ちょっと、昨年のことを振り返ってみたいと思います。
世界では、昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵略が未だに続いています。状況は膠着しているようですが、アメリカなど西側諸国からの支援もあり、ウクライナが徐々に盛り返しているようであります。この侵略の影響で、原油や天然ガス、小麦など世界的な資源、食糧不足が顕在化しており、これらの価格高騰は病院経営にも影響を及ぼしています。
県内に目を向けますと、8月に置賜地方を中心に大変な被害をもたらした豪雨災害がありました。家屋の浸水や田畑などへの土砂の流入など多くの県民の生活や経済活動に深刻な影響を及ぼしました。いまだに1名の方が川に流されて、見つかっていませんし、また、橋が崩落するなどして、米坂線は復旧の見通しがたっておらず、社会インフラへの爪痕が残っています。
近年、地球温暖化により大規模な気象災害が頻発しているとの報道を日々目にします。我が県立病院は、災害医療の拠点としての役割を担っており、そのような場面ではしっかり対応する必要がありますが、今年は気象災害が起こらず、戦争も終わり、平和な世の中を取り戻してほしいと願うばかりです。
一方、コロナについては年初から第6波が始まり、7月中旬からの第7波が収束しないまま、10月中頃からは第8波と立て続けに感染が拡大しました。また、オミクロン株への置き換わり、その感染のしやすさから爆発的な感染者数となったわけであります。これまで1日当たりの感染者数の最高は11月22日の2207人であり、累計では20万人を超え、県民の5人に1人くらいはもう感染している、ということになります。一方、9月からは全数届け出の見直しで、陽性者フォローアップセンターの運用が開始され、コロナが段々とありふれた感染症になってきたということでもあります。幸いにして、無症状だったり、感染しても症状が軽くなってきておりますが、その感染力の強さや、後遺症で悩む方も一定程度いらっしゃるため、軽視はできません。

そのような中で、こころの医療センターの職員の皆さんは、コロナ禍のもと、退院支援を進めることが困難な環境にもかかわらず、新型コロナウイルス感染症の感染防止に最大の注意を払いながら、精神科医療に尽力されています。加えて、県の医療提供体制確保の調整や他の医療機関への感染防止に関する専門的な指導や支援にも協力をいただいています。大規模な院内クラスターもあったなかで、診療体制を最小限の制限、縮小にとどめ、大きな混乱もなく県民への医療提供サービスを継続できたことは、賞賛に値することとだと思っております。

職員の皆さんには、この3年近くの長期間にわたり、大変な緊張感の中、また自宅待機などでマンパワーが不足する中で、高い使命感を持って、新型コロナ以外の通常診療と両立させながら、頑張っていただいていることに対し感謝申し上げるとともに、深く敬意を表する次第です。
さて、こころの医療センターは、本県の精神科医療の基幹病院として、精神科のあらゆる機能を有し、県民の安全、安心に応え、県民医療を守り支えています。
また、精神科専門医制度における研修基幹施設として、専攻医の確保など、本県の精神科の医師確保に大きく貢献しています。
新型コロナの影響により、診療報酬制度上の特例が認められて以降、患者の要望に応じた電話診療に多く対応していることも、こころの医療センターが患者ニーズをしっかり捉えているものです。
神田院長のリーダーシップのもと、須貝副院長、新田副院長、看護部長の斎藤副院長、そして、事務局長の佐藤副院長をはじめ、職員の皆さんには、日ごろ、生命(いのち)と健康を守る第一線でご尽力いただき、深く感謝申し上げます。

今年は、十干では「癸」(みずのと)と、十二支では「卯年」(うどし)となり干支は「癸卯(みずのと・う)」となります。「癸」(みずのと)は物事の終わりと始まりを意味すると言われています。また、「卯」という字は「門が開いている様子」を連想させることから「冬の門が開き、飛び出る」という意味があると言われています。卯年は、今までの数年間から大きく「飛躍」し、私たちの生活が大きく「向上」する年になって欲しいものです。

今年は、令和7年度を目標とする中期経営計画2年目の年です。コロナも感染症法の類型の見直しの議論が進められていますが、今後、ウイズコロナの中では、従来の医療提供に重心をシフトする必要があり、患者の受入を徐々に増やし、収益のアップ、(医業)収支の改善を図っていくことが大きな課題です。
また、医師を初めとした職員の働き方改革は目下の優先課題であり、来年令和6年4月からは医師の時間外労働の上限規制が適用されますので、今年は多職種によるタスクシフト・タスクシェアを推進し、その準備を万全にしておく必要があります。
加えて、社会ではDX、デジタルトランスフォーメーションの推進が叫ばれておりますが、我々県立病院にあっては、先ほど申し上げた働き方改革と密接な取り組みとして、業務の見直しとデジタル化を進めることで、生産性のアップ、業務の効率化を図ることも必要であり、ワーク・ライフ・バランスの実現、魅力ある職場を目指すものです。

現在、私たち県立病院は、新型コロナウイルス感染症と新型コロナ以外の疾病等への対応が同時に求められ、また、厳しい状況にある経営面での目配りも必要であり、難しい局面にあります。
県民の皆さんに持続的に安心・安全・信頼の医療を提供するため、この難局を皆さんと共に乗り越えるべく、一致団結し、一歩一歩進んでまいりましょう。

最後に、昨年は虎のように強く勇ましい年だったかもしれません。ですが、今年は卯年です。目標は1歩より2歩先へ。うさぎのようにぴょんっと跳んでみんなで目標へ辿り着きましょう!