4月6日、山形県病院事業局 大澤賢史 病院事業管理者による職員に向けての年度初めの訓示が行われました。
その内容をご紹介します。
皆さん、こんにちは。病院事業管理者の大澤です。
神田院長をはじめ、こころの医療センターの職員の皆さん方には、生命と健康を守る第一線で、日々御尽力いただき、深く感謝申し上げます。
病院事業局では、「県民に安心・信頼・高度の医療を提供し、県民医療を守り支える」ことを使命とし、4つの県立病院は、県全域あるいは地域における基幹的な病院として、救急医療、周産期医療、精神医療及びがん等の高度医療を提供しています。
その中でもこころの医療センターは、県内唯一の公立の精神科単科病院として、精神科救急対応、児童思春期精神科医療、心神喪失者等医療観察法への対応などの政策的医療を提供しており、本県の精神科医療の基幹病院として、県民の信頼と期待に応えてきました。
また、9割を超える非常に高い病床利用率を維持している一方で、3か月以内の在宅退院率も高水準であり、入院中から退院後まで切れ目なく患者さんを支援し、福祉施設等とも連携しながら、入院患者の早期退院や地域移行支援に取り組んでいただいております。
この他、大規模災害時にDPAT(ディーパット)チームを派遣できる災害支援の拠点としての役割を果たしながら、精神科専門医制度における研修基幹施設として、本県の精神科の医師確保に大きく貢献しています。改めて、皆さんのこれまでの努力と熱意に敬意を表したいと思います。
そして、こころの医療センターでは、院内での新型コロナウイルス感染症の感染防止を徹底するだけでなく、陽性者の受入れを想定した準備、他病院への看護師の派遣による応援など、県や地域全体の医療体制の確保についても協力していただいており、深く感謝申し上げます。
また、職員の皆さんには、御家族の方なども含め、職場である病院内はもとより、日常生活の場においても感染防止に気を配っていただいており、様々な面で負担を感じていることと思います。長期間にわたる対応について、心より御礼申し上げる次第です。
ワクチンの接種が進むことで、1日も早く感染の収束が見通せるようになることを切望しておりますが、今しばらくの間、引き続き御協力くださるようお願いします。
さて、世界に目を向けますと、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いています。いかなる理由でも、武力による実力行使は、絶対許せるものではありません。一般市民の犠牲について、連日、報道されていますが、特に心が痛むのは、病院などの医療機関に対しての、攻撃で患者や懸命に働いている医療従事者にも被害が出ていることです。同じ医療に携わる者として、遠く日本にいる我々にも、何ができるかを考えずにはおられません。
そして、新型コロナについてです。国内では、年明けから続くオミクロン株よる第6波では、一時期よりは伸びが鈍ってきたものの、連日数万人単位の高い水準で新規感染者が発生しております。県内においても、同様に収束の兆しが見えてきておりません。新型コロナウイルス感染症への対応は、非常に神経を使い、重い負担を伴うものでありますが、皆さんの力を結集して、この波を乗り切ってまいりましょう。
さて、本来の業務に目を向けますと、山形県の病院事業を取り巻く環境として、人口減少や受療率の逓減による患者数減少の加速、少子高齢化の進行に伴う疾病構造の変化、さらには医師の不足や偏在など、年々厳しさを増しており、資金不足等解消計画を達成するため、病院事業の経営改善が最大の課題となっています。
令和4年度は、令和7年度までの4年間を計画期間とする病院事業の新たな中期経営計画がスタートする年であります。
皆さんにはこれまでも、様々な取組みに努めていただいていますが、今後も更なる収支の改善や従来から県立病院が抱える課題への対応に加え、医師の働き方改革やデジタル化の推進など、新たな課題に対する取組みが求められております。
このような現状を、皆さんお一人お一人、全職員が理解し、考えられる経営改善策に垣根や限界を設けずに、ベクトルを同じくし、一丸となって取り組むことが計画達成のための鍵となります。
現在、私たち県立病院は、新型コロナウイルス感染症と新型コロナ以外の疾病等への対応が同時に求められ、また、厳しい状況にある経営面での目配りも必要であるという、大変難しい局面にあります。
精神科医療に求められるニーズは、急性期患者の早期社会復帰、慢性期患者の地域移行、さらに、社会環境の変化などによるうつ病などのストレス関連疾患や不登校、発達障がい、認知症への対応など、益々大きくなり、多様化している状況にあります。
新型コロナウイルス感染症の国内外における感染拡大は、先を見通せない状況でありますが、神田院長のリーダーシップの下、こころの医療センターのミッションである「県全域を対象とした精神科医療の基幹病院としての役割を積極的に果たす」ために、「病院機能の強化と精神科救急対応、児童思春期精神科医療、心神喪失者等医療観察法への対応などの精神科政策的医療を推進する」というビジョンの達成に向けて、職員一丸となって取り組んでいきましょう。
今年度もよろしくお願いします。