病院事業管理者訓示【令和6年度】

4月5日、山形県病院事業局 阿彦 忠之 病院事業管理者による職員に向けての年度初めの訓示が行われました。
その内容をご紹介します。
皆さん、こんにちは。この度、病院事業管理者に就任いたしました阿彦です。
私は、先月まで、健康福祉部の医療統括監の職にありましたが、医療行政の仕事を通じて、県立病院に対する県民の信頼と期待が、いかに大きいかを実感してまいりました。
このたび、病院事業管理者として就任し、これまで県民の信頼と期待に応えて来られた職員の皆さんの医療に対する熱意に思い巡らし、誠心誠意、県立病院の病院運営に万全を期さなくてはならないと、思いを新たにした次第です。

さて、我々病院事業局では、「県民に安心・信頼・高度の医療を提供し、県民医療を守り支える」ことを使命とし、中央、新庄、河北、こころの医療センターの4つの県立病院で、県全域あるいは地域における基幹的な病院として、救急医療、周産期医療、精神科医療、がん等の高度医療などを提供しております。
神田院長をはじめ、こころの医療センターの職員の皆さんには、県民の生命と健康を守る第一線で、日々御尽力いただき、感謝申し上げます。

昨年度は、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類となり、県が策定した移行計画に基づき新型コロナ対応に取り組んできましたが、その移行計画期間が終了し、新型コロナも季節性インフルエンザのように、通常の診療として取り扱うこととなります。しかし、コロナ禍の後遺症は大きく、患者数はいまだコロナ禍前まで戻る気配がありません。
人々の受療行動の変容と人口減少が相まって、患者数はコロナ禍前までは二度と戻らないという考え方のもと、今後は病院を運営していく必要があると考えます。

さらに、少子高齢化の進行に伴う疾病構造の変化、医師の不足や地域間及び診療科間の偏在、物価高騰など、近年の病院経営を取り巻く環境は厳しさを増し、病院事業の経営改善は最大の課題になっています。
こうした状況の中、昨年度は、「山形県病院事業中期経営計画」及び「山形県立河北病院経営健全化計画」について、総務省の「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」に基づき改正し、「経営強化プラン」として位置付けたところです。
今回の改正の目玉の1つが「新興感染症等の感染拡大時等に備えた平時からの取組」になります。令和2年度から令和4年度は、コロナ禍ではありましたが、病床確保料などの新型コロナ関連補助金が充実しており、病院事業会計としては、経常黒字を確保した3年間でもありました。しかし、今年度は「平時」となってコロナ補助金もなくなり、物価高騰などの強烈な逆風が吹く中で、いかに経営改善を図っていくかが最大の課題になります。
また、4月から医師の時間外労働の上限規制が適用開始となりました。多職種によるタスクシフト・タスクシェアを推進し、働き方改革にしっかりと取り組む必要があります。
加えて、社会ではDX、デジタルトランスフォーメーションの推進が叫ばれておりますが、県立病院にあっては、いよいよ電子カルテをはじめとする総合医療情報システムの更新時期を迎えます。この更新を機に、業務の見直しとデジタル化を推進し、業務の効率化や患者サービスの向上などを図ることも重要な課題であります。
さらに、今年度は診療報酬改定の年です。人件費などに充てる本体部分は0.88%のプラス改定となりますが、薬価は1%のマイナス改定となり、全体としては0.12%マイナスの改定となります。物価高による費用増加を価格に転嫁できない我々としては、本体のプラス改定は素直に喜ぶべきことでありますが、新たな制度の中で、いかに収益を確保するかということが重要な課題となります。今回の改定から本体の施行日が6月になり、多少の時間的余裕ができましたが、早め早めの対応をお願いいたします。
今年度、こころの医療センターでは、厚労省に提出しているデータを活用するための経営分析ツールを導入し、分析力の強化を図ることとしております。本局でも同じデータを参照することで、本局でも可能な限り分析のサポートを行わせていただき、病院と本局が協力して経営改善を進めることで、更なる飛躍を期待しております。

最後に、神田院長のリーダーシップの下、こころの医療センターのミッションである「県全域を対象とした精神科医療の基幹病院としての役割を積極的に果たす」ため、「病院機能の強化と精神科救急医療、児童思春期精神科医療、心神喪失者等医療観察法への対応などの政策的精神科医療を推進する」というビジョンの達成に向けて、職員一丸となって取り組んでいきましょう。

よろしくお願いします。